山田まな 活動日記

【その2】政務活動費の条例改正案を考えてみました

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(4) 政務活動費の条例改正案

○条例改正案

○これらを踏まえ、政務調査費から政務活動費となったことにより、今後全国の議会で条例改正への動きが生じてきます。市民オンブズマンは、これまで以上に曖昧な基準で使途が拡大されていかないか、非常に危惧しています。これまでの検討課題や判例なども含め、先進的な取り組みを盛り込んだ、条例案を作成してみました。

○弁護士さんに相談しながら、条例案の検討を重ねてきました。この条例案が名古屋市で可決されるかどうかは、これから議論がなされていくものと思われます。


 (趣旨)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条第14項及び第15項の規定に基づき、名古屋市会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、議会における会派に対し、政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする。

 (政務活動の範囲)
第2条 議員の職務が市民意思を代表し、政策を形成することであり、議会の役割が、市長その他の執行機関が行う施策の評価及び監視並びに政策の立案にあることにかんがみ、政務活動の範囲を調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動等とし、次に掲げるとおりとする。
一 市政の課題、議会で審議する案件等について行う調査研究の ための活動
二 市民、政治家、行政関係者、民間の団体等との意見交換その他の情報収集を行うための活動
三 政策や方針を立案及び発信するため、会派内又は会派間において、政策や方針について意見交換や意見調整等を行う活動
四 市民等に対して行う広報・広聴活動
五 前各号に掲げるもののほか、議長が必要と認める活動

Note 1 : 改正の趣旨
法改正に従い、政務活動費が使用可能な範囲を条例で定めるため

Note 2 : 内容等
 全国市議会議長会の条例案では、「政党活動、後援会活動などの選挙活動などを除く、会派活動及び議員活動」との抽象的な規定になっているが、全国市議会での変更事項に関する本会での意見等にも記載のあるように、具体的な政務活動の範囲を規定し、それと関連させる形で、使途基準を設置した方が、一般の人にも分かりやすい条例となると考える。
 ひとまず、既に定義規定を設置している東京都の規定をそのまま準用しているため、内容については、さらに検討する必要がある。
 東京都の条例改正におけるあり方検討委員会において、定義の必要性が主張されている。
 三重県のあり方調査会によると、「政務」の意味を、議会基本条例の議会や会派の役割と関連付けることが提案されている。
 法改正により、「政務調査費」から「政務活動費」となったことにより、従来のものから使途が拡張される項目として、国等への陳情が挙げられており、これを加えるか検討する必要がある。

○具体的な政務活動の範囲を規定し、それと関連させる形で、使途基準を設置した方が、一般の人にも分かりやすい条例となると考えます。先ほど紹介させていただきました東京都議会の定義規定をそのまま準用しているため、内容については、さらに検討する必要があります。

○内容の検討項目として、ひとつめに、三重県のあり方調査会によると、「政務」の意味を、議会基本条例の議会や会派の役割と関連付けることが提案されています。

○二つ目に、法改正により、「政務調査費」から「政務活動費」となったことにより、従来のものから使途が拡張される項目として、国等への陳情が挙げられており、これを加えるか検討する必要があります。


 (交付対象)
第3条 政務活動費は、名古屋市会における会派(所属議員が1人の場合を含む。以下「会派」という。)に対して交付する。

Note 1 : 交付対象が会派の場合における会派が行う調査研究活動の解釈

【札幌高裁平成19年2月9日判決】

会派としての意思統一がなされ、当該調査活動が会派として行うものであるとの会派の了解が存在することが必要。
※ 会派として行う調査活動に限られないとする判例もある。

Note 2 : 改正の検討

制度の透明性を図るため、会派交付の場合は、会派が行う調査活動に限定すべきであると考える(会派の調査研究活動を分担して行うことが明確である議員個々に行う調査研究活動は可能)。
  その上で、議員交付分も設けるべきか、会派交付のみとすべきかについて検討する必要がある。

Note 3 : 会派からの個々の議員への調査の委任の様式
東京都の様式参照。

○Note 1 : 交付対象が会派の場合における会派が行う調査研究活動の解釈をどうするか、ですが、札幌高裁では、「 会派としての意思統一がなされ、当該調査活動が会派として行うものであるとの会派の了解が存在することが必要」とし、静岡市議会はこの判例に沿って運用しています。ただ、廣瀬先生の著書で指摘されている通り、会派として行う調査活動に限られないとする判例もあるので、どちらの解釈をとるのか各議会で判断する必要があります。

○次に、Note 2 : 改正の検討
 制度の透明性を図るため、会派交付の場合は、会派が行う調査活動に限定すべきであると考えます。その上で、三重県議会のように、議員交付分も設けるべきか、会派交付のみとすべきかについて検討する必要があります。


(交付額及び交付の方法)
第4条 政務活動費は、月額500,000円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額を会派に対し交付する。
2 前項の所属議員の数は、月の初日における各会派の所属議員 数による。
3 月の途中において、議員の任期満了、辞職、失職、死亡若しくは除名、議員の所属会派からの脱会若しくは除名又は議会の解散があった場合におけるこれらの事由が生じた日の属する月の政務活動費の交付については、これらの事由が生じなかったものとみなす。会派が解散した場合も同様とする。
4 各会派の所属議員数の計算については、同一議員について重複して行うことができない。
5 政務活動費は、毎月10日に交付する。ただし、10日が、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、日曜日又は土曜日(以下「休日等」という。)であるときは、その直前の休日等でない日とする。

Note : 交付金額について
 そのままでよいか。
 現在の返還額の状況によっては、金額を変更することも検討してよいのではないか。

○この条文は、交付額と交付の方法についての規定です。
ここでの検討課題は、 交付金額についてです。
そのままでよいか、現在の返還額の状況によっては、金額を変更することも検討してよいのではないか、政務活動費の趣旨や使途基準も鑑みながら、設定しなおす必要があります。


 (使途基準)
第5条 政務活動費は、別表に定める使途基準に従って使用するものとし、第2条各号に掲げる政務活動に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない。

Note 1 : 改正の趣旨
第2条の定義と関連付ける形で、使途基準を定める。
別表を規程ではなく、条例で定める。

Note 2 : 別表について
別表の内容を検討する必要がある。

Note 3 : 経理責任者の規定について
 モデル条例を始め、使途基準の次条に経理責任者の規定がある例が多いが、名古屋市は、規則の「会計帳簿等の整理保管等」の規定の中で定められている。
 敢えてモデル条例と異なる規定の形式をとった理由はなにか。
 どちらの方がよいのか。

 (収支報告書等)
第6条 政務活動費の交付を受けた会派の代表者は、政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を、別記様式により議長に提出しなければならない。
2 前条の場合において、当該会派の代表者は、以下の各号に定める書類を添付しなければならない。
 一 会計帳簿
 二 政務活動費に係る領収書その他支出の事実を証する書類の写し
 三 政務活動費のうち、人件費及び事務所費に係る契約書の写し
 四 政務活動費による印刷費の支出に係る成果品等の写し
 五 別記様式に定める報告書
3 収支報告書及び前項各号に定める書類(以下「収支報告書等」という。)は、前年度の交付に係る政務調査活動費について、毎年5月6日までに提出しなければならない。ただし、5月6日が休日等であるときは、その直後の休日等でない日とする。
4 政務活動費の交付を受けた会派の代表者は、会派が解散(議員の任期満了による一般選挙後に同一の会派を結成する場合を除く。以下この項において同じ。)した場合には、前項の規定にかかわらず、当該会派が解散した日の属する月までの収支報告書等を、解散した日の翌日から起算して30日以内に提出しなければならない。

Note 1 : 改正の趣旨
 使途の透明性を高めるため、領収書以外にも添付すべき書類を規定した。
 (1)会計帳簿
 (2)政務活動費に係る領収書その他支出の事実を証する書類の写し
 (3)政務活動費のうち、人件費及び事務所費に係る契約書の写し
 (4)政務活動費による印刷費の支出に係る成果品等の写し
 (5)視察報告書など

Note 2 : 添付書類について
 ひとまず、他都市の事例等から、添付した方がよいと思ったものを挙げてみたが、全て必要か、また、他に必要な書類はないか。
Note 3 : 提出時期について
 添付書類を増やし、次条以下の通り調査を厳しくするとなると、1年に1回だと、処理が困難になることが予想される。
 そのため、半年又は四半期ごとに提出→調査を行った方がよいと思われる。
 なお、東京都は四半期ごと、さいたまは半期ごとに提出→調査を行っている。

○Note 1:使途の透明性を高めるため、領収書以外にも添付すべき書類を規定しましたた。

○Note 2 : 添付書類について、他都市の事例等から、添付した方がよいと思ったものを挙げてみましたが、全て必要か、また、他に必要な書類はないか、議会で検討すべき項目です。

○Note 3 : 提出時期についてですが、添付書類を増やし、次条以下の通り調査を厳しくするとなると、1年に1回だと、処理が困難になることが予想されます。そのため、さいたま市議会や東京都議会のように、半年又は四半期ごとに提出→調査を行った方がよいと思われます。


 (議長の調査)
第7条 議長は、政務活動費の適正な運用を期すため、前条の規定により収支報告書等が提出されたときは、調査を行う。
2 前項の調査は、別記様式により記録するものとする。

Note 1 : 改正の趣旨
 より適正な運用を期すため、提出された書類は、議長(議会局)が、全件調査する体制となるよう規定した。
 また様式を定めることにより、調査項目が明確となるようにした。
Note 2 : 調査項目について
 どのような事項を調査項目とするかと検討する必要がある。
 なお、東京都の様式によると、
①都が交付した政務調査費と会派の会計帳簿との照合
②会計帳簿における個々の支出事項と条例に定める使途基準との照合
③会計帳簿の支出事項と保管する支払伝票等との照合
④その他
となっている。

 (名古屋市議会政務活動費調査等協議会)
第8条 議長は、前条に定める調査等に関し、専門的見地からの意見を聴くため、議長が指名する三人以内の学識経験を有する者をもって構成する名古屋市議会政務活動費調査等協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、前項に規定する意見を述べる場合において必要があると認めるときは、収支報告書等に関し、検査を行うことができるものとする。
3 協議会は、前項に規定する検査を行う場合において、活動費の使用状況等の適切な把握のため必要があると認めるときは、会派との意見交換等を行うことができるものとする。
4 協議会は、必要があると認めるときは、議長又は会派に対し、活動費に関する指導及び助言をすることができるものとする。
5 協議会の構成員は、正当な理由なく、この条に規定する職責を果たす上で知り得た秘密を漏らしてはならない。第1項に規定する指名が解かれた後も同様とする。
6 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、議長が定める。

Note 1 : 改正の趣旨
 より透明性を高め、適正な運用を期すため、中立的な立場からチェックに関与する第三者機関を設置する規定を設けた。
Note 2 : 第三者機関の構成、調査の方法等
 上記の規定は、ひとまず、東京都の規定をそのまま流用している。
 したがって、第三者機関の委員構成や、調査の方法等について、検討する必要がある。
 なお、東京都は弁護士、会計士、税理士等の有識者3名で構成されており、抽出検査としている。その他、必要に応じ、議会局の調査の指導助言を行うとされている。
 また、さいたま市は、公認会計士が、全件検査を行っているようである(ただし、条例に明記はされていない。)。

 (交付額の確定)
第9条 市長は、収支報告書等の送付を受けたときは、当該収支報告書の審査及び必要に応じて行う調査等により交付すべき活動費の額を確定し、代表者に通知しなければならない。

Note 1 : 改正の趣旨
 同条により、調査を経て、適正な活動費の金額が確定され、次条により、同金額と当初交付額との差額を返還すべきこととなる。
 このような方式を採ることにより、返還額が明確になると考える。
 東京都及びさいたま市が、同方式を採用している。

Note 2 : 規定の内容
 規定の内容は、ひとまず、東京都の規定をそのまま流用している。ただ、「当該収支報告書の審査及び必要に応じて行う調査等により交付すべき調査費の額を確定し」と「審査」と「調査」の2段階のチェックが予定されているが、それぞれどのようなチェックがなされているのかを確認する必要がある。
 さいたま市は、「その内容を審査し、適正と認めるときは、当該年度における政務調査費の交付額を確定し、」としている。


(政務活動費の返還)
第10条 政務活動費の交付を受けた会派の代表者は、交付を受けた政務活動費の総額から前条の規定により確定された政務活動費の額を控除して残余があるときは、当該残余の額に相当する額を、直ちに市長に返還しなければならない。
Note : 改正の趣旨等
 前条参照。

(収支報告書等の保存及び閲覧)
第11条 議長は、第5条第1項の規定により提出された収支報告書等を、提出期限の日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
2 何人も、議長に対し、前項の収支報告書等の閲覧を請求することができる。
3 議長は、前項の規定による請求があったときは、非公開情報(名古屋市情報公開条例(平成12年名古屋市条例第65号)第7条第1項に規定する非公開情報をいう。)が記録されている部分を除き、収支報告書等を閲覧に供するものとする。
4 前項に定めるもののほか、第2項の閲覧について必要な事項は、議長が定める。

Note : ホームページでの閲覧
 ホームページでの閲覧が可能となるよう規程の改正を行う。

○収支報告書等の保存及び閲覧の規定ですが、個々の条文内で、たとえば、函館市議会のように、ホームページでの閲覧が可能となるよう規程の改正を行うべきであると考えます。

 (委任)
第12条 この条例に定めるもののほか、政務調査費の交付に関し必要な事項は、規則で定める。

Note : 条例での規定事項と規則での規定事項
 条例での規定事項と規則での規定事項
 経理責任者の規定について前述のとおり。
 第9条の規定を置くのであれば、規則第5条の市長への収支報告書等の写しの送付の規定も条例にあった方が分かりやすい。

≪まとめ:今後あるべき議員像とは―議会改革の方向性―≫
○日本の地方議会が目指すのは
 イギリス式か、アメリカ式か
 
1)イギリス式
  議員数は多いが、無報酬に近いボランティア的
  「名誉職」
 
 2)アメリカ式
  少数精鋭の議員だが、報酬は高い「専門職」

○議員報酬削減と議員定数削減がよく議題に挙げられますが、その議論の根底にある議員像が明確なのだろうか私は疑問に思います。行政改革と同様、なんでも削減すればいいというわけではないからです。
たとえば、
 1)イギリスでは、地方議会の 議員数は多いが、無報酬に近いボランティア的
  「名誉職」
  2)アメリカ都市部では、 少数精鋭の議員だが、報酬は高い「専門職」
と二つの像があります。
 この二つの形に収れんされることはないでしょうが、議員のあり方はどうあるべきか、まず議論の遡上に乗せるべきではないでしょうか。


●地方議会の質的改革
  1)立法政策能力の向上
  2)議会の自立性の確立
  3)議会スタッフの充実
  4)監視統制機能の強化
  5)開かれた議会づくり
 ※引用:佐々木信夫『現代地方自治』139頁

○議員のありかたとともに、議会基本条例の制定に満足しているだけでなく、実質的な地方議会の質的改革にも取り組むべきです。上記、佐々木信夫氏の5つの観点を引用しましたが、たとえば、立法政策能力の向上で、市会図書室を充実した制度に変革すれば、個々の議員が自由に新聞や図書を購入する必要もなくなりますし、議会スタッフを制度として充実する方向づければ、個々の議員の秘書的な人件費は必要となくなり、その分の政務調査費の給付額は減額が可能です。

○以上、「議員の調査研究に資する」という目的に立ち戻り、個別の政務調査費のガイドラインを定めると同時に、あるべき議員像を踏まえ、目指すべき議会改革の方向性を定めることが議会にとって急務であると考えます。


おわり
by yamadamana2011 | 2012-12-04 16:34 | 議会改革

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