山田まな 活動日記

個人質問の作り方

議会において、執行機関に対し、議員が様々な観点から質問することができます。
過去のブログで、行財政改革に関して、個人質問および代表質問を紹介しております。

さて、「個人質問ってどうやって作っていけばいいのか」をテーマに、青山学院大学教授や名古屋市職員等、多くのみなさんにヒアリングをさせていただいた結果、以下のような段取りで個人質問を築き上げるべきだとの意見を多々いただきました。

それらをまとめてみましたので、ここに掲載させていただきます。
ご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございます!

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【個人質問の作り方】

1.優れた個人質問とは

①問題発見
 取り上げるテーマ、課題の現場に赴き調査する

②課題抽出
 テーマ、課題に関する資料を情報公開請求やネット等で調べ、分析する

③名古屋市ヒアリング
 調査、分析結果をもとに問題点等を部局の担当者に問い質す

④他都市と比較
 視察も含めて他都市との比較調査を行う

⑤より多くの人と議論する
 有識者および会派内で議論し、自分の考えを批判的に見てもらい、質問の中身を練成していく

⑥改善策の提示
 これらを通じて名古屋市の抱える問題点を浮彫りにし(③~⑤は何度も繰り返し質問内容を洗練させる)、その解決の道筋を具体的かつ明快に示し、その実現を迫る、

優れた改善策は、優れた調査から自ずと導き出されるであろうから、つまるところ、優れた個人質問とは、どれだけ徹底的な調査をしたかが問われることになる。

2.質問ポイント5!
ポイント1)まず、質問の獲得目標を明確にすること

議会質問には「執行部追求型」、「特定の政策提言型」、「政策の実施状況情報公開型」などいくつかのパターンがある。

★「執行部追求型」
 →執行機関(行政当局)の不正や不作為、怠慢等を本会議場で追求するもの。しばしば、メディアで報道されたものなどを深追いして質問・追求する。

★「特定の政策提言型」
 →課題を抽出し、「今後どのようにするつもりか」という問いを行政に投げかけるだけにとどまるのでなく、「私はこういう政策でもってこの課題を解決すべきだと考えるが、名古屋市でもこの手法をとるべきである!」と具体的な政策を提言する。

★「政策の実施状況情報公開型」
 →市の新規事業、継続事業や個人質問等の進行状況等、確認及び追求する

※いずれも「獲得目標」が明確でなければならない。
⇒質問する議員が、何を獲得したいか、それを明確に意識すること。そして、その獲得目標が、特定の利益集団の利害ではなく、「パブリックな利益」を実現するものであるという、獲得目標それ自体の正当性があるとの確信が必要である。もちろん、「確信」は独りよがりの独善的なものではならない。

ポイント2)獲得目標を獲得するための展開を考えること

①よくあるパターン
⇒「先進事例を示し、他の都市でも実現可能なことは名古屋市でも実現可能である」
これには、名古屋市と他の都市との違いと同じところを検証して、さまざまな反論への対応を準備しておく必要がある。早い段階から名古屋市へのヒアリングを重ね、「他都市では実現可能であったが、何が名古屋市では障害になっているのか」を聞き出す。
 
◎たとえば…
  A)公共施設の屋根への太陽光パネル導入が他都市で先進的に進んでいることを名古屋市に尋ねる
  B)名古屋市では、「光害」「耐荷重」「ボルト」の課題がクリアされていないので、導入できないとの環境局の答弁があった。
  C)太陽光パネルを先行して導入している都市もB)のような課題が存在していたが、克服策を必ず作り上げているはずで、先進都市視察の時に同じ質問と解決法を聞き出す。より具体的・技術的・専門的な解決法になると思われる。
  D)太陽光パネル会社を訪れ、B)の課題をぶつけてみる。C)同様具体的な解決法を聞き出す。自治体以外の最先端の状況を、自分の引き出しで持っておく。
  E)C)とD)を持って、再び名古屋市に質問をぶつける。
 →このA)~D)の手順を繰り返す。

②どこの自治体も行っていない「先進的事例」

⇒他の都市でもやっていない地方自治体では「先進的事例」といわれる、外国での事例を導入するよう提示する。しかし、外国での事例は地方自治制度が異なっていたり、一つの外国での事例だけではパッケージとして日本で実現できなかったりするので、部分を分解して組み立て直すという作業が必要になる。

3)説得的な論理とそれを裏付ける具体的事例をもって立証をすること

⇒「役所は税金を使うところだから、論理が立っていなければならない」
政治も「そこはなんとかと無理を通すもの」ではない。昔は、「交通違反もみ消しは政治家の仕事」などと言われていた時代もあったかもしれないが、そのような「無理を通すことが政治」の時代は過去のものである。

⇒「政治には透明性が求められる」
行政も情報公開制度ができて大きく変わった。お天道様の下で説明できないことはしてはならないし、できなくなった。よって、お天道様の下での論理(大義名分)が必要であるし、それを市民の方々に説明できる論理と証拠が必要である。これができたら「良い質問」となる。

※少なくとも、本屋で売っている「ノウハウ本」(話し方、伝える力、スピーチの仕方、営業トークの仕方など)は、一度は読んでみていただきたい。質問により説得力が増すはずである。

4)なさなければならないことは明確に

執行部追求型でも政策提言型でも、何を求めているか、何を実現しようとしているのか、求めていることははっきり具体的に言わなければならない。「私はこう考えているから、後はよろしく」であってはならない。質問は「質問しっぱなし」ではいけません。「シリーズ・オブ・質問」によって、その事項が、質問者の「ライフワーク」になるのである。常に個人質問でもPDCA(Plan, Do, Check, Action)プロセスを考え、連続で事項を追及していく。


2.具体例として
(具体例として書いていますので読み流して下さい)

①問題発見
「財源が右肩下がりの中で、お年寄りの生きがい対策と少子化対策をどうしようか」

②課題抽出
「地域の絆が薄れている。地域子育てという形でもう一度地域コミュニティの再構築ができないだろうか?」

→名古屋市で既に行っている関連施策、文献、他都市の事例、先進国の事例等基礎的知識を構築する
※行政情報サービスのデータベース、新聞記事データベース等を利用する
※国会図書館の利用等。

③名古屋市ヒアリング

「②のような課題があるが、名古屋市としては今現在どのような取り組みが行われ、何が問題であると考えているか」

→名古屋市の施策の歴史をきっちり把握する。相手の土俵を理解し、試行錯誤して現在があることを理解する。

④他都市と比較

「文部科学省と厚生労働省が空き教室の有効利用に補助金を払っている。各都市で、地域コミュニティの起点に、学校という場を選んでいる。」

埼玉県草加市【新田小学校内 新田平成塾】

お年寄りの生きがい対策に空き教室で塾を開いている。地域の子供達との世代間交流を通して高年者にとって住み よいまちづくりを目指し、あわせて共に学ぶ地域社会づくりの醸成の場として設置したものである。

宮城県松島市【松島小学校内 高城保育園分室】

小学校の空き教室を活用して保育所分園を開設し、4・5歳児については幼稚園での幼児カリキュラムに参加させたり、幼児教育の充実を図る ために幼保一元化について試行的に行っている。

→事業内容を調べる。
→次に、名古屋市ヒアリングをもう一度行う。

(1)もう既に類似事業が行われているか?
(2)他都市で進んだ事例があるが、名古屋市では実現不可能なのか?
(3)不可能である理由は何か?財源が足りないのか、制度上無理なのか、条例が存在しないからなのか?それとも、慣習のためか、先行事例がないからなのか?縦割りの壁ゆえか?
(4)さらに、可能であれば、名古屋市の現場で働く人の声をヒアリングする。現場にこそ柔軟な改革案が生まれやすいはず。
(5)また、利用者の声、課題に直面し苦しむ人の生の声も聞けると良い。

→おそらく、名古屋市でできない困難さは、先進事例を取り組む都市でも同様のものに直面しているはず。その困難を克服できた要因が他都市にはある。そのため、視察に赴き、行政側・現場で働く人・利用者の声などヒアリングを重ねる。

→現場視察から得た見識でもって、もう一度当局にヒアリングを行う。本当に実現が不可能なのか?

⑤改善策の提示
「名古屋市では、部局を超えた施策を融合させるという試みが未だおこなわれていないようである。名古屋市の現場サイドも局横断型の効率・合理化された施策を望んでいる。今回、健康福祉局・教育委員会・子ども青少年局・財政局の4局をまたがった『アセットマネジメントお年寄りの生きがい&地域子育て&地域防災&地域コミュニティ再構築&ゆくゆくは地域委員会の担い手と思想を醸成する施策』を提案する」

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みなさまにいただいたアドバイスで、今後も個人質問をつくっていきます!
by yamadamana2011 | 2012-10-20 00:16 | 考える

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