山田まな 活動日記

受益とは何で、受益者とはだれか

保育料値上げの問題に関して(長くなります)。

「減税の財源として、値上げした」というご批判がありますが、そんなわかりやすい議論ではなく、非常に悩ましい問題です。

ですが、我々もまた、必ずしも値上げに賛成しているわけではありません。「受益者負担」の受益者とは、だれか。子どもは社会全体の財産で、子どもの福祉・教育・健全なる成長の帰結は、社会全体に益するものであります。また、「女性の社会参画」を目指すにあたり、働くお母さんの環境を整えることこそが、景気回復の一助になり、それもまた社会全体を益します。「子ども手当」政策がぶれている中、名古屋市の市としての方針は何か。「子育てしに、名古屋に来てちょ~よ」という河村市長の発言。市はなんでもかんでも「受益者負担」の原則を当てはめればいいものではない。「優先順位を!」 病院局長の好きな言葉です。「選択と集中!」であります。優先順位を決め、そこを集中して手厚い福祉を。誰もかれも願いを叶えられるわけではない。財源に限りがある。では、何を誰をどんな思想で?


それを申し上げたら、「社会主義だ!」と役所の方に、言われましたが、それはまったくの暴論でありまして。しかし、「今回は、広く市民の皆さま、とくにお母さま方に理解していただき、話し合う機会を設けなかった我々にも落ち度がある。急に値上げされて困るご家庭もある。」とおっしゃられる役所の方も。「子育て手当値上げをあてにされていた家庭もある。国の方針がぶれてすぎて、それに振り回される若い子育て世代が大変だ!」という減税日本内部からの声も。

今回の値上げで、問題になっているのは、「行財政改革の取り組み」という財政局が出した報告書の中に、この保育料値上げの項目が入り込んでいたことです。

「減税のための行革で、市民サービスが削れているではないか」というご指摘。
財政局側の反論としては、「財政規律を正しくしたことは、行財政改革の一環である」とのこと。河村市長のいう「行革」と、財政局が考える「行革」では、そもそも定義が一致していないように思われます(もしくは、私の理解が財政局の「行革」の定義とは一致していないのかもしれません。)「行革の定義」に関しての議論は、今度財政局の担当者と2時間話し合うことになりましたが、それは、また別の議論で書きます。

これらを踏まえたうえで、以下のデータを掲載します。

①「名古屋市における就学前児童の保育所・幼稚園の利用状況」
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白黒で見にくくて、申し訳ありません。薄い灰色の部分が、保育所利用の園児の割合です。全体で約12万人の児童がいる中で、3歳未満で保育所に通っている児童は約3万人。残りの9万人は、保育所に行っておりません。ここで「預けたくても預けられない」という、待機児童の問題が関わってきます。

②「保育所運営費と財源」
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薄灰色の部分が、名古屋市が負担・助成している部分。右※の部分は、名古屋市が国の指針を飛び越えて、独自に助成している部分です。

③「保育所運営費の内訳(3歳児未満)」
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まず、0~3歳と3歳~で分けられるのには、理由があります。
0~3歳児は、とても手がかかるので、保育士1人あたりにつき児童約3人までしか、面倒をみることができません。
3歳児以上になれば、保育士ひとりあたりにつき、児童約30人ほど面倒をみることができます。(この人数は、暫定です。)

そのため、かかる費用が異なるので、0~3歳児と3歳以上児では、わけて考える必要があります。

◎3歳未満児

表のとおり、年間一人当たり平均193万かかる保育料のうち、①+②+③と名古屋市は年間130万円助成しております。この時、①の軽減というのは、広島市に続き、名古屋市は全国で2番目に多く負担しています。

④「保育所運営費の内訳(3歳以上児)」
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◎3歳以上児

やはり、手がかかりにくくなる分、年間でかかる費用が大幅に安くなっています。

⑤「平成23年度保育料改定案と国基準保育料の比較(3歳未満児)」
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見にくい表ですが、この表は、前に載せた④⑤の表「徴収」という箇所に関してのものです。「徴収」とは、保育料をご家庭に負担していただく部分のことです。

この「徴収」の部分も、一律おいくら、ではなく、所得に応じて変化する「応能負担」。つまり、支払能力に応じて負担していただくようになっています。

この表で、読むべき場所は、

①改定前市保育料と改定後市保育料
月、一人当たり200円~900円値上げになっています。

②国基準保育料
国が定めた保育料の基準と比べ、ご家庭の負担を和らげるため、基準よりも安くなるよう助成金を多くする施策をとっています。さらに、応能負担はきめ細かく細分化されています。

⑥「平成23年度保育料改定案と国基準保育料の比較(3歳以上児)」
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こちらも同じようになっています。

以上がデータです。

これらを踏まえたうえで、今回の値上げ施策に至ったのは、待機児童問題の解消があるからです。保育所の増設。さらに、これまで保育所に行けなかった子どもたちが保育所に来ることで、市の負担金がそれだけ増加する。

そこで、「受益者負担」の原則がでてくるわけです。

この受益者負担の原則とは、平成15年「今後の福祉のあり方検討分科会」で話し合われた結果の報告書、【今後の福祉のあり方について】3ページに登場します。

<給付と負担の原則の確立>

○国の基準と上回る上乗せ・横だしサービスは、その性質に応じ、所得制限を導入するなど、真にサービスが必要なものを対象に施策を実施する。
○給付に対する費用負担は、サービスを受ける者と受けない者との負担の公平化の観点から受益者負担を原則とする。
~略~
○保育所等の社会福祉施設における徴収金の徴収基準については、家庭においても負担することとなる飲食物および日常生活費等は利用者の負担が原則であることを考慮のうえ策定する。


さらに、4ページ。
保育料については、現在、国基準に対する徴収率は57.3%と指定都市で最も低い状況となっており、保育料の軽減額は平成14年度予算で44億円を超える金額となっている。保育料の水準は、働きながら子供を育てやすい環境を作ることを考えるうえで非常に重要な点であるが、現在、所得税非課税で市民税非課税の世帯であるB階層については、無料、所得税非課税で市民税課税世帯であるC階層についても大幅な軽減となっており、所得の多寡に関わらず本来誰もが負担すべき食費相当について負担していることを考慮すれば、少なくとも食費相当については利用者が保育料として負担すべきものと思われる。



以上の議論です。

「子育ては社会全体にとって受益なのはいい。でも青天井に、保育所に通う児童のみ、際限なく援助するのか。」とも役所の方はおっしゃった。

では、

①なぜ「今」値上げか。
②女性の社会参画の視点がすっぽり抜け落ちているように思うが、「働くお母さん」の働きやすい環境整備という観点からはどう議論するか。

と、まだまだ議論を深めなくてはいけない。

さらに、河村市長のいう「市民サービスを削らない行革」だと、行革の定義そのものを突き詰める必要があります。

まだまだ減税日本の党内では議論が揉めております。

「あなたはどう考える?」にまだはっきりお答えできなくて申し訳ないです。

悩ましい、悩ましい問題です。(やや値上げ反対に揺らいでいますが)

誰の願いも叶えられる理想の社会ならいいのに、限りある財源の中で、どこかに線を引かなければならない。議論を尽くします。声をきかせてください。
by yamadamana2011 | 2011-04-21 07:51 | 考える

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